2月18日

送ってくれた誕生日プレゼントが届いた。美味しいチョコレート屋さんのアソートセットらしい。きらきらと梱包されたチョコレートたちは眩しくて、抱きしめたくなるほど愛おしい。二十個入っているのに、全て違う味なのだと言うから驚いてしまう。

そのチョコレートは、送ってくれた彼女のことを思いながら、毎晩一つずつ寝る前に食べるようにしている。奥歯で噛むとじんわり広がる甘みがうっとりするほど嬉しい。烏滸がましいと思うかもしれないけれど、彼女にもこの幸せが届いたらいいのにと思う。彼女には幸せに生きて欲しい。せめて、私があなたに貰った分位は。

 

また少し調子が悪い日が続いていて、でも散歩への焦燥感が激しく、ふらふらと歩いては自転車のベルに軌道修正を促されている。さながら夢遊病者のようであると思う。もしかしたら、そっちの方が幸せなのかもしれない。

 

私の家の近くには川が通っている。冬になると雑草雑林の伐採が行われて、河川敷はすっかり 見晴らしが良くなる。すると、今まで葉っぱに覆われてよく見えなかった猫の細道が見えるようになるので、私はたまにドキドキとそこを覗き込んで「にゃあ」と鳴いてみることがある。返答は特にないけれど、別にそれでよかった。食べかけのキャットフードが大きな葉の上に置かれているのを見て踵を返し、家に帰る。少し嬉しかった。

 

心が不安定なこと以外、日々が落ち着いている。三月、祖母の八十八歳の誕生日でその事で揉めているようだ。生まれてくることがめでたいと思っている人に囲まれるのは酷く疲れるが、私もなんだかんだプレゼントを選んでいる。おばあちゃんには長生きをして欲しいから。プレゼントの意味合いは、きっとあげる人によって変わるのだろう

 

彼女は何を思って私にチョコレートを送ってくれたのか。なんにも考えてないなら、それはそれでいい。そんなことを思いながら、私はまた奥歯でチョコレートを噛んでいる。